木枯しの街から

11月に入るとすぐにクリスマス飾りをする気の早い百貨店の前を通ると「まだ早いのでは」と思っていましたが,今日6日,東京と大阪に木枯し1号が吹いたとのことで,もう冬に入ろうとしています。以前仮設住宅を訪問していたときは,神戸中心部にくらべて夏はヨリ暑く,冬はヨリ寒い西区の気候に,仮設住宅の構造が輪をかけて厳しくしていたのを想い出します。

「茶話会,ボランティア募集のお知らせ」いただきました。このところ忙しく,家をあけられないので,今週末は参加できそうもありません。多分もっと寒くなってからになるでしょう。少しでもヨリ多くの声に耳を傾け,楽しく有意義な茶話会になることをお祈りします。

 神戸では、精神保健相談員という心の問題に関わる職員が、これまで各区に2名づつ居たものが、国の法律により「心の健康センター」を設立してそこに1名を集めた為、なんと各区に1名しか居ない,つまりほとんど何も出来ない状態に陥っています。
 それももはや、被災者対象の専門の部署というものは存在せず、市民全体の対象部署である為に、被災者対策としては社会福祉協議会の「見守り」ぐらいしかなくなり、お寒い状況です。

 週末ボランティアはこれの代わりはおろか情報末端にも位置しないものなのですが、同じ問題意識を持ってとりあえず被災地にしがみついているという点で、貴重な存在となってきていると思います。

先の東條氏の書き込み「若草住宅の茶話会」について一言いわせていただくなら,神戸市長選挙の結果についての分析や反省は,別途それにふさわしい場所と方法で思う存分述べていただいた方がいいでしょうからここではコメントしませんが,「心のケア」については,行政の体制が縮小されたことを単純に批判しているように理解できる記述となっていますが,これはいかがなものでしょうか?

行政の機能を「サービス」ととらえれば,その縮小はサービス低下ということになりますが,行政も政治的権力の一端である以上,それが個人の内面に介入することは決して歓迎されるものではありません。むしろそうであるがゆえに,それから自由で独立した民間活力が導入されるべきであるといわねばなりません。ヴォランティアの存在意義もここから見出すべきではないのでしょうか?

12月2日は総会とのことですが,皆さんに考えていただきたいことを一つ。既に鹿島代表もおっしゃっていますが,この週ボラホームページは更新が進んでいません。質的な面(内容の精選とともに受け手にとって利用しやすいように提供することも含めて)とともに,少ない労力と費用でやっていけるようにするにはどうすればいいかが,情報発信を続けている上での重要な課題でしょう。

それはさておき,例のニューヨーク及びワシントンへの攻撃事件と,その報復としての米英によるアフガニスタン侵略戦争が始まって2ヶ月近くが経ちました。これに心を痛めておられる方も多いことでしょう。

いくら死者の数が近いからといって,NYの一件と阪神淡路大震災を結びつけたり,比較したりすることは適切な発想とはいえませんが,敢えていうなら,その後の市民の対応なり意識という点では,顧みるべき点もあるでしょう。少なくとも,連日連夜の救助活動に従事する消防隊員に飲み物を差し入れたり,拍手で迎えるNY市民の姿と,阪神淡路大震災で最も活躍したのは自衛隊だなどという虚偽の内容を載せた中学公民教科書がつくられたり,国内外でそうした放言をする政治家がいたりするという情況を許してしまっている日本の市民との間には,落差があることを否定できません。

被害者は,ニューヨークとワシントンだけではなく,戦場となっているアフガニスタンでも陸続と生まれています。4日の『朝日新聞』に「米に50億円、アフガンには数億円 被災者義援金に格差」という記事がありました。中には「女優の吉永小百合さんも、米国被災者とアフガン難民向けに、同額の1万ドルずつを寄付した。「つらい悲しい思いをしているのは、どちらも同じはず。戦争ではない解決法を、との願いも込めました」と吉永さんは話している」というように,両者に同額の寄付をする向きもありますが,これが日本の現状なのでしょうか。$10,000×2=\2,400,000ですね,さすがは小百合さん,と関心ばかりしていても…。このような寄付ができる人はほとんどいないでしょう。しかし,日本の戦争協力にNo!の姿勢をとることは,誰にでもできることですし,そのための方法も一つではありません。

もう一つ感心したのがこれ。2日の『朝日新聞』にあった「「反戦クラブ」結成計画の米女子高生を停学処分」で,「10月中旬から「アフガンで死んでいく子供たちをテレビで見て、国家安全保障の新しい意味に気付いた」と手書きしたTシャツを着て登校。戦争中止を求める「無政府主義クラブ」を結成しようとビラを配布し、約20人の賛同者を集めた」女子高生が停学処分を受け,教育委員会と裁判所もこの処分を支持したというものです。全米に蔓延するナショナリスティックな好戦ムードの一方で,地道に戦争反対の声もつくられていますが,私としてはこのような,勇気あるラディカルなものを応援したいですね。それにしても「無政府主義クラブ」とは恐れ入りました。

近いうちに神戸でお会いしましょう。

2001/11/7

11/21の「ニュースステーション」

もう日付が変わってしまいましたが,作家・大江健三郎がゲストで出ていた,21日の「ニュースステーション」で,「反戦クラブ」を結成して停学処分を受けた女子高生が出ていました。

停学処分にされたためか,20人ほどいた仲間も数人に減ってしまい,同じ学校の大多数の生徒や教師,さらには地域住民もが,異常なナショナリズムに呑みこまれて,彼女に対して冷酷で敵対的な態度をとっているようです。

エスニック・マイノリティーとして受けた差別やイジメのなかから反戦・平和に目覚めた感性と見識,その信念に基づく勇気ある行動を,大切にしたいものだと,改めて思いました。

追加1:11月7日(水)01時58分の投稿「木枯しの街から」でも紹介した「反戦クラブ」もしくは「無政府主義クラブ」と訳されているものは,朝日新聞社に問い合わせたところ,「Anarchist Club(無政府主義者クラブ)」が正確だとのことです。

追加2:アメリカで起きた同時多発テロ事件に関し、管理者のアフガニスタンの滞在経験から、今回の事件に関する報道の偏りと、アメリカのテロ報復に関する自制を促すページです。http://www.mewmew.f2s.com/

2001/11/22

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